2026-07-20
カシューナッツの加工の手間を知ったので纏め。
カシューナッツはウルシ科の植物 Anacardium occidentale の種子である。
原産地はブラジルとされるが、現在はアフリカ、西アフリカ諸国、インド、ベトナムなどの熱帯・亜熱帯地域で広く栽培されている。
ナッツ類として流通しているが、植物学的には果実の内部に含まれる種子であり、特徴的な構造を持つ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Anacardium occidentale |
| 界 | 植物界 |
| 科 | ウルシ科 |
| 属 | Anacardium属 |
| 種 | Anacardium occidentale |
カシュー樹は枝を大きく広げる樹形を持つ。
葉は厚く楕円形で、成熟すると赤色または黄色のカシューアップルを実らせる。
カシューアップルは果実のように見えるが、植物学的には果柄が肥大化した「偽果」である。
食する部位であるカシューナッツは、その先端に付く腎臓形の殻の中に存在している。
この構造は他のナッツ類にはあまり見られない特徴である。

主な栄養成分は以下の通りである。
| 成分 | 含有量(100gあたり) |
|---|---|
| エネルギー | 約553 kcal |
| たんぱく質 | 約18.2 g |
| 脂質 | 約43.8 g |
| 炭水化物 | 約30.2 g |
| 食物繊維 | 約3.3 g |
| マグネシウム | 約292 mg |
| リン | 約593 mg |
| カリウム | 約660 mg |
| 鉄 | 約6.7 mg |
| 亜鉛 | 約5.8 mg |
| 銅 | 約2.2 mg |
| ビタミンB1 | 約0.42 mg |
| ビタミンE | 約0.9 mg |
引用:USDA FoodData Central
不飽和脂肪酸、マグネシウムなどのミネラルを豊富に含む。特に銅の含有量が多く、鉄の利用を助けるほか、赤血球の形成やエネルギー代謝に関与する栄養価の高い食品である。
カシューナッツは栄養価の高い食品である一方、脂質を多く含むためエネルギー量も高い。健康維持のためには、適量を摂取することが望ましい。
| 地域 | 主な生産国 |
|---|---|
| 西アフリカ | コートジボワール、ナイジェリア、ベナン |
| 東アフリカ | タンザニア、モザンビーク |
| アジア | インド、ベトナム |
| 南米 | ブラジル |
殻には刺激性を持つ化学成分が含まれている。
そのため収穫後すぐには食べることができず、成分を除去する加工が必要である。
殻に含まれるCNSLの主成分はアナカルディック酸(約80%)。ウルシ科に特徴的なウルシオールと構造が近縁であり、接触皮膚炎・毒性肝炎を引き起こす。
| 成分 | 割合 |
|---|---|
| アナカルディック酸 | 約80.9% |
| カルドール | 10–15% |
| その他メチル誘導体 | 微量 |
多くの原料はアフリカやアジアで生産される。
特に西アフリカ地域は世界有数の生産地となっている。
FAOSTATではカシューナッツ(殻付き)の生産統計が2024年まで公開されている。
生産量・生産国ランキングは変動するため、最新の数値はFAOSTATを参照するとよい。
Agricultural production statistics 2010–2024
収穫された原料は殻付きのまま輸出される場合がある。
加工拠点として特に重要なのは以下の国である。
人件費、加工技術、インフラなどの理由からこれらの国では大規模な加工工場が存在し、輸出向け製品の製造が行われている。
主な消費地域は以下の通り。
ナッツ以外の部分である。
利用例
殻から抽出される油状物質である。
利用例
ナッツ表面の茶色い皮である。
利用例
カシューナッツは特徴的な果実構造を持つ熱帯作物である。またカシューナッツは単なるナッツ類ではなく、栽培・加工・流通が国際的に分業化された代表的な農産物である。原産地で収穫された実は、加工技術や労働力が集積した国で殻むき・選別・包装が行われ、その後世界各国へ輸出される。このようなサプライチェーンは、現代のグローバル食品産業を理解する上でも興味深い事例となっている。
現在は、
という国際的なサプライチェーンが形成されている。
また、ナッツだけでなく、
などの副産物も利用されており、食品産業だけでなく化学工業でも重要な作物となっている。